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Re:強欲の魔女と変革の未来     プロローグ

  • 執筆者の写真: 結城リノンが書きました。
    結城リノンが書きました。
  • 2019年1月3日
  • 読了時間: 3分

 かの白鯨戦から数百年。歴史の教科書の筆頭に並ぶ時代。強欲の魔女ことエキドナが封じられてから約八百年の月日が流れていた。歴史は進み、蒸気を使ったメイン電力とし輸送するために魔力カプセルを使い世界に電力供給システムが普及していた。


 その発電システムは、各家庭に普及し調理などにも使われ、そこで使われた電力は、定期的に回収されるシステムになっている。完全自動運転で循環されるこのシステムは、人々の暮らしを一変させた。


 それまで、便利とされた魔術や魔力はなりをひそめ、魔力との親和性を持った人は数生まれるものの、実際に魔力を使ってなにかをするというわけではなく、単純に身体測定などで魔力数値として表示サれるだけとなっている。


「エレノアさ~ん。クレイン・エレノアさん、いますか?」

「は~い」


 定期検診に来ている彼女は、幼い頃から読書に明け暮れる文学少女で、歴史の本が大好きで毎日、時間を見つけては読みふけっていた。そうして、歴史上の彼女と出会うことになる。


『やっぱり、エキドナさんカッコいい~』


 歴史上で強欲魔女として記されているエキドナ。幸いか、エレノアもエキドナと同じような銀色の髪で肩まで伸びている。そのきれいな銀髪で、周囲でも有名でエキドナの再来ではないかと、噂されたほどでもある。


 この世界で、エキドナは英雄視され、知識の象徴とされることで学び舎の見本となっていた。そして、長年連れ添った相手と添い遂げたことで恋愛の見本ともなっていた。


「エレノアさん。魔力値。相変わらず高いわねぇ~」

「そうです?」

「一般の人からしたら多い部類。ってところだけど……」

「悪影響とか……」

「いや、別にないと思うわ。様子をみようか」

「は、はい」


 この何気ない診断の魔力値の強さが、この後。エレノアを巻き込む重大な内容となっていく……


 そんなことなどつゆ知らないエレノアは、自分の通っている白銀学園の寮へと帰っていく。その白銀学園は、エキドナとロズワルドが祀られた墓所が高台に作られている。


 生粋のエキドナ信者のエレノアは、寮に一度戻った後に自主的にエキドナとロズワルドの墓所の清掃を行っている。そんな中……


『見つけた……』

「えっ?なんの声?」

『ようやく、ボクの入れる器に巡り合った……』

「えっ。なに……」


ボンッ!


 土埃の舞う中、うっすらと人の姿になったけむりは、そっとエレノアに近づくと……


『ボクに貸して。そのカラダ』

「えっ?」


 その人の姿をしたけむりが、エレノアにぶつかりそうになった時。すっとその姿が消えた……


「なんだったの……。今の……」


 エレノアにとって、なにが起きたのかさっぱりわかっていなかったが、何やら違和感を覚えるエレノアだった。


「制服、小さくない?それに……スカートも……」

「そして、なにげに、髪と胸まで大きく……」

『う~ん。外の世界は気持ちいい~』

「あれ?わたしのカラダ。勝手に動いてる?」


 次の瞬間、エレノアの元のカラダではなく、エレノアが親身に読んでいる歴史上の人物のエキドナの姿になっていた。


『ええっ!わたし。どうなっちゃったの?』

「いまは、ボクとカラダを共有してるんだよね~」

『えぇっ!』

「それに、こっちのカラダになってる時は、ボクがメインだからね~」

『えぇっ。そんなぁ~』

「久しぶりのこっちだし。楽しませてね~」

『えぇぇぇぇっ』


 ひょんなことから、エキドナとカラダを共有することになったエレノア。そして、800年ぶりに復活したエキドナにとって、周囲の発展ぶりは興味をそそられるものばかり、興味と学園での日常が始まります。

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